京都会館について

INTRODUCTION
京都会館は1960年に開館し、今年で50周年を迎えます。戦後、京都に新しい市民文化の拠点を作ろうと、様々な人々が尽力し、厳しい財政事情の中で建設されたのが、京都会館でした。
以来、たくさんのコンサートや催しが行われてきた文化施設として長く市民に愛されてきました。竣工当時には、日本建築学会賞や建築年鑑賞を受賞し、また近年では、2000年に関西における代表的な近代建築との評価がなされて、「関西のモダニズム建築20選」に選ばれました。
そして2003年には近代建築の記録と保存を提唱する国際組織であるDOCOMOMOの日本支部と日本建築学会によって、日本を代表する近代建築「DOCOMOMO100選」にも選定され、その価値は世界へと伝えられつつあります。



CONCEPT

京都会館の設計である前川國男は、欧米で始まった近代建築を日本へと定着させることにその生涯を捧げて活動した建築家でした。
彼は、20世紀を代表する建築家のル・コルビュジエから学んだ近代建築の方法を、日本の風土や伝統と調和させ、長い時間にわたって存在できる近代建築のあり方を追求していきました。こうした中で、戦争を免れ、伝統的な町並みが無傷なまま残された京都に近代建築を作ることは、前川にとって、そうしたテーマと真正面から取り組む絶好の機会となったのです。未だ歴史の浅いコンクリートと鉄とガラスで作られる近代建築に何ができるのか、京都の人々が大切に培ってきた伝統や景観をそこねることなく、そこに溶けこみ、なじむことのできる近代建築とはいかにして可能なのか、京都会館には、前川國男が近代建築に託した思いが随所に込められているのです。


HISTORY

1955.9      市民会館建設促進懇話会が結成。4万人以上の署名と多くの寄付を集める。  
1957.4.1     会館建設本部の設置 国際文化観光会館建設審議会発足。
1957.6      会館建設の基本方針が建設審議会で決まり高山義三市長に答申。
1957.7.10  指名設計競技で前川國男/前川國男建築設計事務所、村野藤吾/村野、森建築事務所、尾崎久助/日建設計工務の3者が指名される。(審査委員に京都大学教授・森田慶一ら)
1957.10.19  前川國男案に決定。実施設計、工事監理を委託。
1958.7.20    大成建設の施工により着工。
1960.3.31  竣工
1960.4.29    開館式